はじめてのデザイン思考ワークショップ

はじめてのデザイン思考ワークショップ ワークショップの質を継続的に高めるファシリテーターの自己評価と改善サイクル

Tags: ファシリテーション, ワークショップ改善, 自己評価, 品質向上, 振り返り

はじめに

デザイン思考ワークショップを成功させるためには、企画設計からファシリテーション、そして終了後のフォローアップに至るまで、多岐にわたる専門知識と実践的なスキルが求められます。特にフリーランスの研修講師やコンサルタントの皆様にとって、提供するワークショップの品質はビジネスの生命線と言えるでしょう。

一度ワークショップを終えた後、「これで終わり」ではなく、その経験を次に活かす「振り返り」のプロセスは、自身のサービスを継続的に磨き上げ、プロフェッショナルとしての価値を高める上で不可欠です。本記事では、デザイン思考ワークショップの質を継続的に向上させるための、ファシリテーターによる自己評価と改善サイクルについて、実践的な観点から解説します。

ワークショップの振り返りが重要である理由

なぜ、ワークショップを終えた後の振り返りが重要なのでしょうか。その理由はいくつかあります。

振り返りの具体的なステップと観点

ワークショップの振り返りは、単に「どうだったか」を漠然と考えるのではなく、計画的かつ多角的な視点から実施することが効果的です。ここでは、ワークショップの各段階における振り返りの観点と具体的なステップをご紹介します。

1. 準備段階の振り返り

ワークショップの成否は、事前の準備に大きく左右されます。実施後に、準備段階での自身の行動を検証することが重要です。

2. ワークショップ実施中の振り返り

実際のワークショップ進行中に感じたこと、起こったことを具体的な事象に基づいて振り返ります。

3. 終了後の振り返り

ワークショップの最終的な成果と、クライアント・参加者の反応を踏まえて振り返ります。

振り返りの手法とツール

振り返りを効果的に行うためには、適切な手法やツールを活用することが有効です。

改善サイクルへの接続

振り返りから得られた学びを「次に活かす」ことが、振り返りの最終的な目的です。PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)の考え方を適用し、具体的な改善アクションへと繋げましょう。

  1. Check(評価・分析): 上記の振り返りの観点に基づき、ワークショップの準備、実施、終了後の各段階で何が起こったか、何がうまくいき、何が課題だったのかを詳細に分析します。特に、なぜそのような結果になったのか、その要因を深掘りすることが重要です。
  2. Act(改善行動): 分析結果に基づき、具体的な改善アクションを特定します。例えば、「共感フェーズでの問いかけをさらに深めるための質問リストを作成する」「特定のツールの操作説明をもっと丁寧に実施する」など、具体的な行動に落とし込みます。改善アクションには優先順位をつけ、実現可能なものから着手するようにします。
  3. Plan(計画): 次に実施するワークショップの企画・設計に、特定した改善アクションを反映させます。例えば、ワークショッププログラムの改訂、ファシリテーションスクリプトの見直し、新しいアクティビティの導入などが挙げられます。
  4. Do(実行): 改善を反映した新たな計画に基づき、ワークショップを実施します。

このサイクルを継続的に繰り返すことで、ワークショップの品質は着実に向上し、フリーランスとしての専門性が高まります。また、これらの学びをナレッジとして蓄積し、自身のワークショップサービス提供のための資産として活用することも重要です。

振り返りにおける注意点

振り返りを効果的に行うためには、いくつかの注意点があります。

まとめ

デザイン思考ワークショップを企画・提供するフリーランスの研修講師・コンサルタントの皆様にとって、ワークショップ後の「振り返り」は、自身のサービス品質を継続的に向上させるための重要なプロセスです。

本記事でご紹介した各段階での具体的な観点や手法、そしてPDCAサイクルを取り入れた改善アプローチを実践することで、自身のファシリテーションスキルやプログラム設計能力を確実に高めることができます。継続的な振り返りを通じて、より価値の高いデザイン思考ワークショップを提供し、クライアントからの信頼を一層深めていくことを願っております。