はじめてのデザイン思考ワークショップ

はじめてのデザイン思考ワークショップ フリーランス講師・コンサルタントのためのサービス統合実践ガイド

Tags: デザイン思考, ワークショップ, フリーランス講師, コンサルティング, サービス企画, ビジネス

はじめに

フリーランスの研修講師やコンサルタントの皆様にとって、提供するサービスの独自性や価値向上は継続的な課題かと思います。近年注目されているデザイン思考ワークショップは、単に新しい手法として学ぶだけでなく、自身のサービスラインナップに組み込むことで、クライアントへの提供価値を大きく高める可能性を秘めています。

しかし、デザイン思考ワークショップの実践経験が少ない場合、どのように既存のサービスと連携させ、ビジネスとして提供していくべきか迷うこともあるかもしれません。このサイトは、まさにそのような皆様のために、デザイン思考ワークショップの実践的な企画・実行ノウハウを提供することを目指しています。

この記事では、デザイン思考ワークショップを皆様のコンサルティングや研修サービスの一部として、あるいは独立したサービスとしてどのように位置づけ、効果的に統合・提供していくかについて、具体的な考え方とステップを解説します。デザイン思考ワークショップを単なるトレンドで終わらせず、皆様のビジネスを強化する強力なツールとするための一助となれば幸いです。

なぜデザイン思考ワークショップを自身のサービスに統合するのか

デザイン思考ワークショップをサービスに統合することには、提供側であるフリーランス講師・コンサルタントと、受け手であるクライアント双方にとって、明確なメリットがあります。

提供側のメリット

クライアント側のメリット

このように、デザイン思考ワークショップの統合は、皆様のビジネスをより魅力的に、そしてより効果的なものへと進化させるための重要な一歩となり得ます。

自身のサービスにおけるデザイン思考ワークショップの位置づけを検討する

デザイン思考ワークショップをサービスに統合する際、まず検討すべきは「どのような形で、どの位置づけで提供するか」という点です。これにはいくつかの選択肢があります。

  1. 既存サービスへの「アドオン」: 現在提供しているコンサルティングや研修プログラムの中に、特定のフェーズや目的に合わせたデザイン思考ワークショップを部分的に組み込む形態です。例えば、戦略コンサルティングの一環で顧客課題の深掘りやアイデア創出フェーズに活用する、リーダーシップ研修で新しい課題解決アプローチを学ぶモジュールとして導入するなどです。
    • メリット: 既存顧客に提供しやすく、比較的導入のハードルが低い。
    • 考慮事項: 既存サービスの文脈にどうフィットさせるか、デザイン思考のプロセス全体を理解してもらう必要性。
  2. 独立した「単体サービス」: 特定のテーマ(例: 「新規事業アイデア創出ワークショップ」「顧客体験デザインワークショップ」)に特化した、独立したワークショッププログラムとして提供する形態です。期間は半日、1日、複数日など、内容によって柔軟に設定します。
    • メリット: デザイン思考ワークショップそのものの価値を明確に訴求しやすい。特定のニーズを持つ新規顧客を獲得しやすい。
    • 考慮事項: ワークショップ単体でクライアントの期待する成果にどう結びつけるか、事前のニーズヒアリングと目標設定が特に重要。
  3. 長期プロジェクトの一部としての「複数回ワークショップ」: 数週間から数ヶ月にわたる長期プロジェクトの中で、複数のデザイン思考ワークショップを組み合わせて実施する形態です。例えば、新規事業開発プロジェクトにおいて、共感からプロトタイピング、テストまでを段階的に行う場合などです。
    • メリット: デザイン思考のプロセス全体をじっくりと回すことができ、より深い成果や継続的な変化を促しやすい。高単価なサービスとして提供しやすい。
    • 考慮事項: 長期間にわたるクライアントとのコミットメントが必要。各ワークショップの成果を次のステップにどうつなげるかの設計が重要。

これらの位置づけは、皆様自身の得意領域、メインターゲットとする顧客層、解決したいと考える課題の性質によって最適なものが異なります。まずは自身のサービスポートフォリオ全体を俯瞰し、デザイン思考ワークショップが最も効果的に貢献できる場所を見つけることから始めましょう。

サービス統合のための具体的な設計ステップ

自身のサービスにおけるデザイン思考ワークショップの位置づけを決めたら、次は具体的な設計に入ります。

ステップ1: 自身の得意領域・既存サービスとの連携ポイント特定

まずは、ご自身がこれまでに培ってきた専門知識やスキル、そして現在提供しているサービス内容を棚卸しします。その上で、デザイン思考の各フェーズ(共感、定義、アイデア、プロトタイプ、テスト)や特定のツール・手法が、ご自身のどの領域と親和性が高いか、あるいは補完し合えるかを検討します。

ステップ2: ターゲット顧客の具体的な課題と、デザイン思考ワークショップで解決できることを紐づける

デザイン思考は万能薬ではありません。特定の種類の課題解決に特に有効です。皆様のターゲット顧客が抱える「定義不明確な課題」「部門横断的な連携が必要な課題」「新しい視点や発想が求められる課題」といったものに対して、デザイン思考ワークショップがどのように貢献できるかを具体的に言語化します。

ステップ3: 提供形態(対面/オンライン、時間、参加者規模)の検討

サービスとして提供する場合、ワークショップの実施形態は重要な要素です。

ステップ4: ワークショップ内容のモジュール化・カスタマイズ方法

デザイン思考の基本プロセスは共通ですが、クライアントの課題や時間制約に合わせてワークショップ内容を柔軟にカスタマイズできるように準備しておきます。各フェーズで使用する具体的なツールや手法(例: ペルソナ作成、カスタマージャーニーマップ、ブレインストーミング、SCAMPER、ストーリーボーディング、MVPプロトタイプなど)を「モジュール」として整理し、それらを組み合わせて最適なワークショップを構築できるようにします。

ステップ5: 既存サービスとの価格設定、パッケージング

デザイン思考ワークショップをサービスとして提供する際の価格設定は、その位置づけ(アドオンか独立か)、期間、参加者規模、内容の専門性、そして期待される成果によって異なります。単に時間単価で計算するのではなく、クライアントがワークショップを通じて得られる価値(例: 新規事業アイデア、課題解決の方向性、組織の活性化など)を考慮した値付けが重要です。

サービスとして提供する際の留意点

デザイン思考ワークショップをビジネスとして提供する上では、いくつかの重要な留意点があります。

まとめ

デザイン思考ワークショップは、フリーランスの研修講師やコンサルタントにとって、サービス価値を高め、ビジネスを拡大するための強力なツールとなり得ます。単に手法を学ぶだけでなく、自身の得意領域やターゲット顧客の課題と結びつけ、効果的にサービスラインナップに統合していくことが重要です。

この記事で解説したように、サービスとしての位置づけを明確にし、自身の強みを活かせる連携ポイントを特定し、具体的な設計ステップを踏むことで、クライアントに真に価値を提供できるデザイン思考ワークショップサービスを構築することが可能になります。

まずは小さなワークショップから試してみる、既存顧客にデザイン思考を取り入れた提案をしてみるなど、できることから実践してみてはいかがでしょうか。デザイン思考ワークショップを皆様のビジネスの核として活用し、より多くのクライアントの課題解決に貢献されることを願っております。