はじめてのデザイン思考ワークショップ

デザイン思考の長期プログラム構築入門:複数のワークショップを効果的に連携させる方法

Tags: デザイン思考, ワークショップ, プログラム設計, 研修企画, コンサルティング

はじめに

デザイン思考ワークショップの提供をご検討されているフリーランスの研修講師やコンサルタントの皆様にとって、単発のワークショップは有力なサービスの一つです。しかし、参加者の深い理解と実践への定着を促し、より大きな成果に繋げるためには、複数のワークショップを組み合わせた長期プログラムとして提供することも非常に有効なアプローチとなります。

長期プログラムは、デザイン思考の各フェーズを段階的に学び、実践する機会を提供することで、参加者がツールや手法を単に知るだけでなく、実際に使いこなせるようになることを目指します。また、講師・コンサルタントの皆様にとっては、顧客との継続的な関係性を構築し、サービスの幅を広げる機会にもなります。

この記事では、デザイン思考の長期プログラムをどのように設計し、複数のワークショップ間を効果的に連携させるかについて、実践的な視点から解説します。

なぜ長期プログラムなのか

単発のワークショップでもデザイン思考の概要や特定のツールを学ぶことは可能です。しかし、デザイン思考はそのプロセス全体を体験し、繰り返し実践することで真価を発揮します。単発ワークショップだけでは、参加者が学んだ内容を実際の業務で活かすまでに至らないケースも少なくありません。

長期プログラムは、以下のメリットを提供します。

これらのメリットは、フリーランスとして顧客に提供できる価値を高めることに直結します。

デザイン思考長期プログラムの全体設計

長期プログラムの成功は、その全体設計にかかっています。単発のワークショップを単に並べるのではなく、一貫性のあるストーリーと学習目標を設定することが重要です。

1. プログラム全体の目的とゴールを設定する

まず、この長期プログラムを通じて参加者に何をもたらしたいのか、最終的にどのような状態になってほしいのかを明確に定義します。

このゴール設定に基づいて、プログラムの期間、全体のテーマ、各回の内容構成を検討します。

2. 対象者を明確にする

誰に向けたプログラムなのかによって、内容のレベル感や扱うテーマは大きく異なります。

対象者の現状のスキルレベル、課題感、プログラムへの期待値を事前に把握することが、適切な内容設計の第一歩です。

3. プログラムの期間と頻度を決定する

期間は、プログラムの目的や内容の深度によって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月にわたることが多いでしょう。頻度についても、毎週、隔週、毎月といった選択肢があります。

4. 各ワークショップの位置づけと内容を設計する

デザイン思考の主要なフェーズ(共感、問題定義、アイデア創出、プロトタイプ、テスト)をベースに、各回のテーマと目的を設定します。

これはあくまで一例であり、プログラムの目的や期間に応じて、特定のフェーズに重点を置いたり、内容を統合・分割したりすることができます。重要なのは、各回が独立した内容ではなく、プログラム全体の流れの一部として設計されていることです。

ワークショップ間の連携を強化する方法

長期プログラムでは、各回の内容を単にこなすだけでなく、ワークショップ間を効果的に連携させることが参加者の学びと実践を深める鍵となります。

1. 前回の成果物を引き継ぐ

各回の冒頭で、前回のワークショップで生まれた成果物(例: ペルソナ、共感マップ、Problem Statement、アイデア一覧)を確認し、次のワークショップでどのように活用するかを明確にします。

2. 宿題や実践課題を設定する

ワークショップとワークショップの間に、学んだ内容を実際の業務で試したり、次の回に必要な情報を収集したりする宿題や実践課題を設定します。

3. 定期的なフォローアップを実施する

ワークショップ開催の合間に、メールやチャットツールを使ったフォローアップを行います。

4. 進捗確認とフィードバックの仕組みを設ける

プログラム全体を通して、参加者(またはチーム)の進捗を定期的に確認し、個別または全体にフィードバックを提供します。

長期プログラム実施の注意点

サービス提供者としての考慮事項

長期プログラムは、単発ワークショップよりも提供価格が高くなるのが一般的です。価格設定においては、プログラム期間、提供回数、各回の時間、参加人数、準備にかかる工数、提供する価値(参加者の成長、成果)などを総合的に考慮します。

また、契約においては、プログラム全体の期間、各回の実施日時、提供内容、価格、支払い条件、キャンセルポリシーなどを明確に定めることがトラブル防止に繋がります。

顧客への提案時には、単発ワークショップとの違い、長期で取り組むことによって得られる深い学びや具体的な成果といった、長期プログラムならではの価値を丁寧に説明することが受注に繋がる鍵となります。

まとめ

デザイン思考の長期プログラムは、単発のワークショップでは得られない深い学びと実践機会を参加者に提供し、具体的な成果への繋がりを強化する有力な手段です。フリーランスの研修講師・コンサルタントの皆様にとっては、提供サービスの幅を広げ、顧客満足度を高め、継続的なビジネスを構築する機会となります。

長期プログラムの成功には、プログラム全体の明確な目的設定、対象者に合わせた内容設計、そして何よりも複数のワークショップ間を効果的に連携させるための工夫が不可欠です。今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ貴社のサービスとしてデザイン思考長期プログラムの企画・提供に挑戦していただければ幸いです。