はじめてのデザイン思考ワークショップ

はじめてのデザイン思考ワークショップ チームビルディング・組織活性化のための社内向けワークショップ設計実践ガイド

Tags: デザイン思考, ワークショップ設計, チームビルディング, 組織活性化, 社内研修, ファシリテーション

デザイン思考は、単に製品やサービスの開発手法にとどまらず、組織内の関係性向上や文化変革にも応用できる強力なフレームワークです。特に、チームビルディングや組織活性化といった目的で社内向けのワークショップを企画する際、デザイン思考のアプローチは参加者の主体性や創造性を引き出し、具体的な行動変容につなげる上で非常に有効です。

フリーランスの研修講師やコンサルタントとして、顧客企業から「チームの連携を強化したい」「組織にもっと活気を出したい」といった相談を受けた際に、デザイン思考ワークショップをどのように設計し提案すれば良いか、その実践的な考え方をお伝えします。

なぜチームビルディング・組織活性化にデザイン思考が有効なのか

従来のチームビルディング研修が知識伝達や抽象的な議論に留まることがある一方で、デザイン思考ワークショップは「特定の課題」に対して具体的な「解」を共に考え、形にするプロセスを重視します。このプロセスを通じて、参加者は以下のような経験を得ることができます。

これらの要素は、まさにチームビルディングや組織活性化において不可欠な要素と言えるでしょう。

チームビルディング・組織活性化目的のワークショップ設計ステップ

社内向けのチームビルディング・組織活性化ワークショップを設計する際は、以下のステップを参考にしてください。

ステップ1:目的とターゲットの明確化

最も重要なのは、顧客企業がこのワークショップを通じて何を達成したいのか、その真の目的を深く理解することです。「チームビルディング」「組織活性化」といった抽象的な言葉の裏にある具体的な課題(例: コミュニケーション不足、部門間の連携問題、新しいアイデアが出ない、若手の離職率が高いなど)をヒアリングを通じて引き出します。

この目的とターゲット設定によって、その後のデザイン思考プロセスのどのフェーズに注力すべきか、どのようなアクティビティが適切かが定まります。例えば、部門間の壁をなくしたいのであれば共感フェーズに重点を置き、新しい事業アイデア創出が目的ならアイデア発想に時間をかけるといった具合です。

ステップ2:デザイン思考フェーズの選択と重点設定

デザイン思考の5フェーズ(共感、定義、アイデア、プロトタイプ、テスト)全てを網羅する必要はありません。前述の目的に応じて、特に効果的なフェーズを特定し、そこに時間とエネルギーを集中させます。

チームビルディング・組織活性化においては、特に共感フェーズと、共通の課題に対するアイデア発想小さな行動計画(プロトタイプ)の策定が効果的である場合が多く見られます。

ステップ3:具体的なアクティビティ設計

選択したフェーズに基づき、具体的なワークショップのアクティビティを設計します。

アクティビティごとに必要な時間、使用ツール(ポストイット、模造紙、オンラインホワイトボードなど)、グループ分けの方法などを具体的に計画します。

ステップ4:ファシリテーション計画

チームビルディング・組織活性化目的のワークショップでは、内容だけでなくプロセスそのものが重要です。ファシリテーターは、参加者全員が安心して発言でき、互いを尊重し合える場を作る役割を担います。

ステップ5:成果の定義とフォローアップ

ワークショップで出たアイデアや計画を、単なる「やったきり」にしないための工夫が必要です。

まとめ

チームビルディングや組織活性化を目的としたデザイン思考ワークショップは、参加者にとって実践的で、組織の具体的な変化につながる可能性を秘めています。フリーランスとしてこのようなワークショップを企画・提供する際は、顧客企業の真の課題を深く理解し、デザイン思考のフレームワークを柔軟に応用することが成功の鍵となります。

この記事でご紹介したステップやポイントが、あなたの新しいワークショップ企画のヒントになれば幸いです。実践を通じて経験を積み重ね、顧客企業のチームや組織がより良い状態になるための力となっていただければと思います。